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Session1. 【アゴラ】渡瀬裕哉氏に聞く!トランプ政権が世界経済に与える影響とその対策│第7回 世界の資産運用フェア パネルディスカッションレポート

不動産投資

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Session1. 【アゴラ】渡瀬裕哉氏に聞く!トランプ政権が世界経済に与える影響とその対策│第7回 世界の資産運用フェア パネルディスカッションレポート

「第7回 世界の資産運用フェア」 パネルディスカッションレポート

Session1. 【アゴラ】渡瀬裕哉氏に聞く!トランプ政権が世界経済に与える影響とその対策

■開催日時:2018年2月3日(土) 10:00〜10:30(30分)
■開催場所:大手町サンケイプラザ4Fホール
■モデレータ:内藤忍
■ゲストスピーカー:渡瀬裕哉氏
■レポーター:ひだまり


 

事前予想を覆し、不動産王トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから1年が経ちました。
「奔放にみえる」巧みなツイートは、就任後も止まることはありません。差別的発言やロシアゲート問題など、メディアによる批判が一向に絶えない大統領ですが、大統領選での勝利後始まった「トランプ相場」を皮切りに株価は堅調に伸びています。金融政策も順調でアメリカ経済は、好調にみえます。
2017年11月5日、米紙ワシントン・ポストがトランプ大統領の支持率について「就任から同時期における過去約70年の歴代大統領で最低の37%だ」とする世論調査結果を発表しました。
トランプ大統領は、本当にアメリカ国民に評価されていないのでしょうか?
多くのメディアがヒラリー氏を支持する中、トランプ氏の大統領選勝利を早くから予想していた渡瀬氏に「トランプ政権が世界経済に与える影響とその対策」について、内藤氏がお話を伺いました。

—渡瀬氏は「トランプ大統領の1年」をどう評価する?

まずは、トランプ大統領に関する日本の報道が、相変わらず歪曲されているのか?を伺った。
渡瀬氏いわく「基本的に日本国内で報道されているものは、CNNとかニューヨークタイムズなど反トランプ側メディアの丸写しである。日本の大手メディアはワシントンに支局があるが、あまり取材はしていない。彼らは向こうのメディアで報道されていることを「紹介」しているだけ。ところが、アメリカの報道は反トランプ派と新トランプ派の2つに分かれている。日本の大手メディアには、新トランプ派の民主党バイアスのかかった情報だけが流れてきているため「トランプ大統領は頭のオカシイ人だ」という構成になっている。この状況は今も変わっていない」という。
「トランプ大統領の評価は何点?」と内藤氏が問いかけると「私の評価ではなく、共和党の人達から見たトランプ大統領の評価は100点。大減税・オバマケアの実質的廃止のほか、最高裁の判事に保守派の人を据えたり・環境規制をどんどんやめた結果、炭鉱夫の給料も1000万超えている。」と渡瀬氏はいう。民主党からすると批判の的だが、生産活動主体の共和党サイドからみたら「やるべきことをやっている」という評価だという。ワシントン・ポストの世論調査結果は、偏向した報道である可能性を否めない。

続けて内藤氏が「TPPの見直しなど、ダボス会議や一般教書演説などをみると論調が変わってきているようにみえる。」と問うと、渡瀬氏は2つの側面があると説明してくれた。「1つは、今年、中国とアメリカは貿易でもめる。中間選挙において、上院の選挙区は製造業種が多く、中国と貿易摩擦をやっていかねば票が取れない。中国に対する嫌がらせとして、TPPに復帰する可能性があるよと話を展開し始めている。もう1つは、バノン氏の失脚がある。共和党は基本的にTPPに賛成であったが、バノン氏が保護主義的な観点でTPPに反対しているスタンスだった。バノン氏は年末のアラバマ州上院選挙での失敗をきっかけに失脚し、マーサー財団からの支援が薄くなった。加えて、ブライトバートというバノン氏系のWebサイトの会長職も株主から事実上解任される形で辞任した。トランプ大統領とバノン氏はお金で繋がっていたが、バノン氏がマーサー財団からの支援がなくなったことにより「金の切れ目は縁の切れ目」となり、TPPに復帰してもよいかな?という雰囲気が出てきていることもある。11月に中間選挙があるので、すぐに「TPP復帰」という話はあがらないと思うが、選挙が過ぎたら、動きがあるかもしれない。」という。なんとも世知辛い。

トランプ大統領の人柄について「過激な発言とまじめな発言を織り交ぜ、自身を演じているのか」と内藤氏が問うと、渡瀬氏は「ツイッターやSNS上等では激しいことを発信するが、面と向かって話すときは、丸い人。一般メディアのような拡散されるようなものでは激しいことをいっているが実務的な部分では、きちんと仕事をする人。トランプ大統領は、2代目の経営者なので、生まれたときから近づいてくる人は多かったと考えられる。人を見極め、一旦任せてみて、駄目だったら首を切るというスタイルを感じる。冷徹な一面もある。」と応じた。ツイッターやSNS上等の発言は一種のパフォーマンスと理解することができる。いくらか割り引いて受け取る必要があるだろう。

—米国の現状の政権の問題点と解決の可能性

経済や株価・FRBの舵取りは順調だが、現政権が抱えている問題点はなんだろう。そんな疑問に、内藤氏が「トランプ大統領の頭の中の懸念事項はなにか?」と切り込んだ。
渡瀬氏は考える間もなく端的に返す。「トランプ大統領にとって重要なことは選挙のみ。11月の中間選挙に勝つために経済を動かしている。積極財政で経済を刺激するため、大減税の話をしつつ、規制をどんどん緩和している。一般教書演説でインフラ投資に大きな金額をすると宣言しているように、インフラ政策でばら撒いて今の状況を維持するだろう。2018年までは、自らアメリカ経済に急ブレーキを掛けるようなことはしない。」と。

続いて、減税政策の中身について、渡瀬氏に解説を求めた。「今回の減税政策は、法人税の大幅な引き下げとして、35%→21%へと大きく引き下げた。これはレーガン大統領の引き下げ幅より大きく、トランプ大統領自身「俺はレーガンを超えた」といっている。その他、所得税の簡素化や海外展開している企業への課税額を実質的に引き下げるなどを盛り込んでおり、アメリカにお金が集まる政策になっている。」
内藤氏が「減税施策は、アメリカ経済にとってプラスだが、財政赤字への悪影響を懸念する声はないのか?」と問うと、「財政均衡が崩れ、赤字が増えるのはまずいと考える共和党員は結構いるが、それよりも減税が優先されている。減税によって一時的に赤字が増えても、経済成長の結果、税収が伸びる。最終的にはバランスが取れるというロジックに基づいている。」と応じた。財政のマイナス面より回復が強いだろうという見方が強いということだろう。なんにせよ、株価が大きく下がるとマズいトランプ政権は、中間選挙までは何とかすると渡瀬氏はみている。

そんなトランプ大統領が一番気にしているのは、黒人の雇用問題だという。ヒスパニックを含めた黒人男性の支持率が2倍になってきている。中間選挙まではこれまでどおり有色人種への仕事を増やし、選挙のときは「少なくとも民主党に投票に行かず、家で寝ててくれ」という筋書きを描いていると考えられる。今後もトランプ大統領は選挙に勝つための政策を繰り出していくという目線でアメリカ経済を観察すると良いそうだ。

—米国と北朝鮮の軍事衝突にはどんなシナリオを想定しておくべきか

昨年から何度か報じられている北朝鮮との軍事衝突について「今もアメリカのエネルギーは中東に割かれるという見方のままか?」と渡瀬氏に問いかけた。
「今は、ちょっと難しくなってきている。昨年までは「やるやる詐欺」だった。イラク戦争でも空母6隻だったのに、日本には常時1隻しかいない。年末に北朝鮮に圧力を掛けるといっていたときでさえ、3隻だった。北朝鮮は想像している以上に戦闘能力が高く、3隻では太刀打ちできない。昨年段階での、戦争はありえなかった。」と始めた。そして少しトーンが変わり「今年は1点だけ懸念がある。一般教書演説で、やたら北朝鮮について話が長かった。その中で気になった点は、子供のころ北朝鮮から逃げ出そうとした脱北者の話で、当局に捕まったときの対応に関するエピソードが盛り込まれていた。脱北者は、クリスチャンと会ったか?と聞かれたという。」と。クリスチャンに会うということがどのような意味を持つのか、日本人の私には意味がわからない。続けて解説してくれた。「アメリカでは北朝鮮は宗教弾圧国No1とされており、このエピソードは共和党の保守派の人達の目を北朝鮮に向けさせポジティブな目線を作り上げようという努力だとみられる。そこで、今では軍事衝突があるなら中東かな?と思っていたが、北朝鮮に対してのプレッシャーも掛けてくるだろうな」と考えたとのことだ。
また、アメリカにとっては、北朝鮮は中国の手先である。「アメリカは、子分が喧嘩を売ってきたら、その子分を殴らず、子分に殴らせるという感覚を持っている。北朝鮮へのプレッシャーの意味で、台湾にテコ入れするのではないか?」とも考えているとのこと。
宗教に対するアメリカ人の感覚は日本人以上のメンタリティがあり、盛り上がりはわからない。対北朝鮮への対応は、軍隊の動き(軍事配備)に目を向けると動向がみえてくる。

—アメリカ経済における経済成長・インフレーションと金融政策の見通し

アメリカの金融政策の見通しについて、渡瀬氏はどのようにみているのだろう。「厳しいが、何とか中間選挙まで持たせたいはず。インフラ投資が1兆ドルだったものが、一般教書演説では1.5倍以上になっている。
トランプ政権が本気でばら撒きたいと意思の表れ。」という。それを聞いて、内藤氏「金利上昇によって債権市場の魅力がうせてくる。本来なら株価にマイナスとなるが、減税による企業業績のプラスの要因と金利上昇による株価マイナス要因の綱引き状態。」と纏めた。
また、金融政策は、FRB議長は変わったが踏襲されるだろうと予測した。タカ派のテイラー氏ではなく、パウエル氏を選択したので。緩やかな利上げが踏襲される見込みとのこと。
ここで、内藤氏が「金利が上昇し株価がそこそこ動くならドルはどうだろう?」と投資家の興味を代弁してくれた。渡瀬氏は一呼吸おいて「難しいですね。基本は、円安ドル高だと思うが、中間選挙のときはなかなかそうならない。選挙だけならトランプ氏的にドル安のほうがいい。ドル安を誘導している面はある。」と応じた。内藤氏は「いずれにしても、上げ下げは50%の確率。困らないようなポートフォリオを組むべき」と締めくくった。丁半博打に時間を費やすならば、リスクを吸収できるポートフォリオの組み換えに時間を使ったほうが賢明だと思う。


最後に、日本のメディアからの情報収集で注意すべきことについて、渡瀬氏に伺った。
データに基づかなく、噂で話す人は怪しい。CNNやニューヨークタイムズを丸写ししているような人も多い。
アメリカで取材していても、対象者が学者に絞っていればトランプ氏の敵である可能性が高い。敵に取材してもまともな話は得られないはず。支持率に関しては、リアルポリティクスというサイトは日本からも見ることができる。日本のメディアであれば、ウォールストリートジャーナル(日本語版)が割りと偏りが少ないと教えてくださった。もっと共和党よりの情報が入手したい場合、ヘリテージ財団が発行するメルマガに登録してみるといい。

誤った情報を鵜呑みにしてしまうと、投資判断を鈍らせてしまう要因になります。今回、渡瀬氏がご紹介くださった情報源を活用して、ニュートラルな立場で状況分析していく大切さを感じました。
とはいえ、同じ情報源をみても汲み取れる要素に個人差があります。バイアスの偏りを補正していそうな専門家の意見を参考に、情報を読み解いていくことが賢明だと思います。2018年も波乱の年となることでしょう。投資家として「守」を意識しながら、ご自身のポジションを点検していきましょう。(レポーター:ひだまり)

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