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子供がいない人の相続は要注意!円満に相続するための2つの方法とは?

「相続」と聞くと、子供のために対策するというイメージがありませんか? 子供のいない方の相続対策は、必要ないのでしょうか? 2006年、国立社会保障・人口問題研究所が出した「日本の将来人口推計」によると、未婚者を含む子供のいない割合は約3割を占めると言われています。結構多いと思いませんか?

本記事では、お子さんがいない方向けに相続対策の必要性を解説、円満に相続するための2つの対応策をお伝えします。 具体的には、

1. 子供がいない場合の法定相続

2. 第三者への遺贈

3. 遺言書の種類

4. 家族信託の活用 について、

自身や知人の体験談を交えながら、分かりやすく解説していきます。 2018年6月、相続法(民法)が約40年ぶりに大きく改正され、2019年1月13日から段階的に施行されています。 今回は最新の相続法に基づいた記事となっておりますので、相続の知識がある方も是非ご一読ください!

 1. 相続対策は子供がいないから不要?

ライフプランの情報収集をしていると、必ず出てくるのが相続対策の話です。 我が家は主人と2人暮らしで、子供がいません。平均的な家庭ではないかも知れませんが、私にとっては普通のことだと思ってきました。

というのも、私の身の周りには未婚、既婚にかかわらず仕事優先で活躍している女性が多く、子供がいない人が多かったからです。 冒頭で述べた通り、未婚者を含む子供のいない世帯は、日本全体の約3割もいます。

この3割の人たちは、相続について考えなくてよいのでしょうか?

1.1. 相続は晩年に決めよう

我が家は資産運用の話はよくしますが、相続について真剣に話し合ったことはありません。 「老後に困らないようにコツコツと資産を増やそう!万が一晩年に資産が余りそうだったら、その時に考えればいいよね。」と極めて楽観的でした。

また多くの相続対策セミナーが「子孫に資産を残す前提」となっており、相続セミナーの案内が届くたびに「うちには関係ないよね」で会話が終わっていたのです。

1.2. 新型コロナウイルスで急変した事情  

2019年12月、中国湖北省武漢市で初めて感染が確認された新型コロナウイルス(COVID-19)。

感染された方や影響を受けられた方には、心よりお見舞い申し上げます。

その後世界中に感染拡大し、日本でも感染者数が急増、4月19日現在の累計感染者数は1万人を突破、死亡者数も238人となっております(クルーズ船の乗員・乗客を除く)。

実は、先日友人の知り合いが新型コロナウイルスに感染してしまいました。 その方は30代で持病もない若い男性。検査結果が出るまで自宅療養していたところ、症状が急激に悪化、会話もメールもできない状態に陥ったそうです。

ご家族も「小さい子供を残して死んでしまうのだろうか」と本気で心配だったといいます。今は少しずつ回復しているそうです。 回復してきて本当によかったと思うと同時に、感染拡大状況を考えると、他人事とは思えません。

万が一夫婦のどちらかが亡くなったら、最悪2人とも亡くなったら、資産はどうなるのでしょう?

DINKSの友人に同じ質問してみたところ、このような返事が返ってきました。

「相続なんて考えたことないわ!万が一自分が亡くなった場合は、まず配偶者、次に両親や兄弟が受け継ぐのかな?主人が亡くなった場合は、主人の親戚と分け合うから複雑だね。親戚間で揉めそう。遺言書いた方がいいの?難しすぎてわからない!」

友人と話しているうちに、昔近所付き合いのあった高齢の女性Aさんのことを思い出しました。 Aさんは息子さんを若くして亡くし、ご主人にも先立たれました。数年後Aさんも亡くなって、ご自宅は甥っ子さんの手に渡りました。

実は一度も甥っ子さんの姿を見かけたことはありません。詳しい事情は分かりませんが、ご自宅はいつの間にか取り壊されて、アパートが建っていました。 将来、自分たちに同じことが起きるかも知れないと考えたら、とても複雑な気持ちになりました。

甥っ子と姪っ子とはあまり交流がないし、どうしよう?

2. まずは法定相続を確認してみよう

Aさんのように、全く相続対策をしていない場合は、法定相続に基づき相続人が決められます。誰がどういう順番で、どれくらいの割合で相続する権利があるのか、詳しくみていきましょう。

2.1. 法定相続の順位と法定相続分

まずは相続の順位のイメージ図を見てみましょう。

配偶者は常に法定相続人となります。それ以外の相続人は3つのグループに分かれます。

① 第1順位: 子供(先に子供が死亡している場合は孫・ひ孫など)

② 第2順位: 父、母(先に父母が死亡している場合は祖父母)

③ 第3順位: 兄弟・姉妹(先に兄弟姉妹が死亡している場合は、甥・姪)

出典:2019年6月12日付政府広報オンライン「約40年ぶりに変わる“相続法”!相続の何が、どう変わる?」より

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/1.html

我が家のように、子供も祖父母もいない場合は

① 配偶者

② 第2順位の父母

③ 第3順位の兄弟・姉妹

であることがわかりました。 次に相続する割合について確認しておきましょう。 法定相続人が配偶者しかいなければ、配偶者が100%相続することになります。 配偶者以外に相続人がいる場合は、相続の順位によって相続割合が変わってきます。

例えば

①父母は健在、本人がひとりっ子の場合: 配偶者が3分の2、父母全員で3分の1

②父母は他界、兄弟姉妹が健在の場合:  配偶者が4分の3、兄弟姉妹全員で4分の1

となります。 よりイメージがわくように、家族構成別の相続順位・割合の一覧表を作成してみました。ご自身がどのケースに当てはまるのか、一度確認されてはいかがでしょうか?

出所:2019年6月12日付政府広報オンライン「約40年ぶりに変わる“相続法”!相続の何が、どう変わる?」を基に筆者が作成

ご参考までに、2020年4月1日に施行された「配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設」についてご紹介しておきます。

子供がいない場合、相続の割合が一番大きいのは配偶者です。一見すると配偶者は安泰に見えますが、従来の法律では「住む家はあっても生活費が不安」という問題もありました。というのも、配偶者が居住建物を取得する場合、現金などの他の財産を受け取れなくなるケースがあったからです。

この問題を解決すべく、2020年4月1日に「配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設」が施行されました。

具体的には、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に,配偶者は、遺産分割時に「配偶者居住権」を取得すれば,終身又は一定期間,その建物に無償で居住することができるようになったのです。

出典:平成30年11月法務省発行「相続に関するルールが大きく変わります」より


http://www.moj.go.jp/content/001285382.pdf

2.2. 遺留分について   お子さんがいない方は、法定相続とは違う形で財産を残したい場合もあるかと思います。その場合には遺言書の作成が必要です。

遺言書については後述しますが、もし兄弟姉妹以外の法定相続人が、遺言書の相続割合について不服を申し立てた場合、遺留分が認められます。

遺留分とは、法律で保障された最低限の相続分です。

民法改正に伴い2019年7月1日以降は、遺留分を侵害された相続人は被相続人からの多額の遺贈・贈与を受けた人に対して、遺留分侵害額に相当する金銭を要求できるようになりました。 具体的な計算式は以下の通りです。

出典:平成30年11月法務省発行「相続に関するルールが大きく変わります」より


http://www.moj.go.jp/content/001285382.pdf

・少し難しいので、分かりやすい例で説明します。

・法定相続人は配偶者と母2名

・Aさんの相続財産は1億5,000万円

・債務や生前贈与はなし Aさんが亡くなり、遺言によって配偶者が100%

・相続 母は高齢で生活費に不安があり、遺留分侵害額を請求

この場合は

・母の遺留分:   

1億5,000万円 x 1/2 x 1/3(法定相続分) = 2,500万円

・母の慰留分侵害額   

2,500万円 − 0(特別受益※1)− 0(相続によって得た積極財産※2)+ 0(相続によって負担    する債務)= 2,500万円

となります。

※1 特別受益:生前贈与(原則10年以内)や遺贈(原則1年以内の第三者に対する生前贈与)

※2 積極財産:経済的に価値のある遺産。不動産、自動車、貴金属類、現預金、賃借権など

生前贈与や債務がある場合、相続財産に不動産など鑑定が必要な財産が含まれている場合は、計算が非常に複雑となってしまいますね。

3. 法定相続人以外に遺贈するには?

次に、法定相続人以外に遺贈する場合について考えてみたいと思います。

3.1. お世話になった人や慈善団体に寄付したい

お子さんがいない方は、過去にお世話になった第三者に遺産を渡したい場合や、応援するNPO団体などに寄付したい場合もあるかもしれません。

そういう場合は、遺贈という方法で対策することができます。

3.2. 包括遺贈と特定遺贈について

まず大前提として、遺贈を行うには遺言書が必要です。遺贈には2種類あります。

 

①包括遺贈: 相続財産の全部または一部を「一定の割合を指定」して遺贈する方法

・例: Aさんに相続財産の20%を遺贈

・財産だけでなく債務も引き継ぐ

・不動産を遺贈されても不動産取得税はかからない  

 

②特定遺贈: 相続財産のうち「特定の財産を指定」して遺贈する方法

・例: Bさんに東京都〇〇区○丁目○番地の土地を遺贈

・相続債務は引き継がない

・不動産を遺贈された場合は、不動産取得税がかかる

どちらのケースがよいかは一概には言えないようです。

というのも税金の計算が複雑な上に、慎重に決めないと受遺者が法定相続人と揉める場合もあるからです。

4. 遺言書と家族信託について

ここまで法定相続人に相続する方法、第三者に遺贈する方法をお伝えしました。 次に遺言書の種類や家族信託について解説していきます。

4.1. 遺言書の種類

遺言書には大きく分けて3種類あります。

①公正証書遺言: 公証人が遺言者から遺言内容を聴き取りながら文書化、原本を公証役場で保管する遺言。破棄や改ざんの心配はないが、公証人2名が必要で費用も高め。

②秘密証書遺言: 遺言者が自分で用意した遺言書を公証役場に持ち込んで保証してもらい、自分で保管する遺言。秘密は守られるが、不備や紛失のリスクも。公証人2名が必要で費用が最も高い。

③自筆証書遺言: 遺言者が自分で用意し保管する遺言。全文、日付、署名も自筆で作成する必要がある。費用はかからないが、不備や紛失のリスクが高い。

今回の民法改正で、自筆証書遺言のハードルが下がることになりました。

まずは2019年1月13日に施行された「自筆証書遺言の方式を緩和する方策」により、財産目録は手書きで作成する必要がなくなりました。パソコンで目録を作れると楽ですね。

また2020年7月10日には「法務局における自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度」も始まります。一言でいうと、自筆証書遺言を法務局が保管するという制度です。

法務省で定められた様式に沿って自筆証書遺言を作成し、封をせずに法務局に申請、原本を法務局で保管することになります。

遺言者の死後、相続人や受遺者は、全国の遺言書保管所で遺言書が保管されているか調べることができるようになり、遺言書の写しの請求や閲覧も可能となります。

出典:平成30年11月法務省発行「相続に関するルールが大きく変わります」より


http://www.moj.go.jp/content/001285382.pdf

4.2. 子供がいない場合の家族信託活用法

財産を管理・運用・処分する権利を家族に託す「家族信託」は、老親が認知症になる前に活用されることが多い仕組みです。

以下のイメージ図のように、認知症になる前に子供を受託者にすることで、子供が財産を管理・処分できます。

出典:阿波銀行「家族信託」より

http://www.awabank.co.jp/kojin/sonae/kazokushintaku/

家族信託は、子供がいない場合でも活用できます。 例えば、代々受け継いだ財産などを配偶者の親族に相続させたくないケースです。

例えば、自分が亡くなったら妻に財産を譲り、妻が亡くなった後は自分の本家の甥に財産を譲りたい場合、一次受託者を妻、二次受託者を甥とし、相続対策をすることができます。

5. まとめ

ここまで子供がいない方向けに、民法改正後の法定相続や遺言、そして「遺贈」と「家族信託」の2つの相続対策についてご紹介しました。

相続対策の必要性を理解し、トラブル回避の一助となれば幸いです。 今回執筆にあたり痛感したのが、相続は法律も手続きも大変複雑な上、家族構成や財産の状況によって大きく対策が変わるということです。

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