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土地を相続したときに兄弟姉妹間で起こりうるトラブルと対策方法

親が亡くなったときに、土地を相続すると兄弟姉妹間で揉めることがよくあります。なぜなら土地を相続すると、相続人が兄弟姉妹である場合、相続財産は兄弟姉妹の共有の状態で引き継ぐことになります。

共有の持分割合は法定相続分となり、例えば3人の兄弟姉妹で相続した場合には、3分の1ずつの共有持分割合で土地を共有しているのです。

この状態を放置していると、2次相続、3次相続・・・により共有者が雪だるま式に増えてしまいます。多人数の共有土地となり、複雑で面倒な関係にならないようにするためには、相続した後に兄弟姉妹間で話し合い、いずれかの兄弟姉妹の単独所有にするか、処分(売却)する必要がありますが、共有物を処分・売却するには、共有者全員の同意が必要です(民法251条)。

兄弟姉妹が遠方に住んでいたり、普段からの関わりが希薄なケースでは、このような話し合いが上手くいかずに揉める原因となることがあります。

揉めないようにするためには自己中心的な考えは捨て、兄弟姉妹間でお互いに譲り合って遺産分割をすることが何よりも大切です。

そこで今回は、土地を相続したときに兄弟姉妹間に起こりうるトラブルとその原因、起こったときの対処方法、事前の対策などについてご紹介していきたいと思います。

1.相続で兄弟姉妹間にトラブルが発生する原因

1.1 遺言書がない場合

遺言書がないと兄弟姉妹間でトラブルになる可能性が高くなります。遺言書は被相続人が生前に遺産の分割方法などを記載した書類で、一般に自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。

遺産の分割方法が記載されている遺言書がある場合には、原則としてその遺言書の内容に従って分割します。遺言書がない場合、または相続人全員が遺言書の内容と異なる分割を希望している場合には、相続人全員の協議によって遺産分割方法を決めます。

これを遺産分割協議と言い、その内容を遺産分割協議書に記載します。遺言書または遺産分割協議書がなければ、相続した土地の名義変更(相続登記)をすることができません。

遺産分割協議がまとまらない場合は家庭裁判所に遺産分割の調停・審判を申し立てることになります。いずれにしても相続に関するトラブルを回避するために遺言書の意義は非常に大きいものがあります。

1.2 遺言書はあるがその内容が遺留分を侵害された相続人がいる場合

遺言書があってもその内容に遺留分(法定相続人が全相続財産のうち最低限相続することができる割合)を無視するような遺産分割方法となっている場合には、遺言書として無効ではありませんが、遺留分を侵害された相続人が他の相続人に対して遺留分減殺請求権を行使すると、請求された相続人は必ず応じなければならないので、相続人間でトラブルになる可能性が非常に高くなります。

また遺留分を無視した遺言書による遺産分割の場合は、相続時から1年間は遺留分減殺請求をされる可能性があるため、その間は遺産分割が確定しない不安定な状況におかれ、相続人が感情的にシビアになり、トラブルに発展する可能性が高くなります。

1.3 土地以外の遺産が少ない場合

すべての相続人が1筆ずつの土地を相続することができるのであれば、土地の大小による価格の違いで揉める可能性はありますか、大きいトラブルには発展しないでしょう。

しかしながら実際は相続財産の中で土地の相続財産評価額が突出して高く、現金や預貯金など他の相続財産の額が少ないケースが多いのです。とりわけ被相続人と同居していた相続人が自宅を相続する場合、自宅の土地を単独で相続することになるため、土地を相続しない相続人とのバランスをとることが困難になります。

必ずしも法定相続分の割合通りに遺産分割が行われる必要はありませんが、目安として一般に利用されているため、法定相続分に満たない相続人がいると相続人で揉めて遺産分割協議が成立しない可能性が高くなります。

1.4 寄与分を主張する相続人がいる場合

遺産分割を行う際に寄与分を主張する人がいるとトラブルになるケースが多くあります。

寄与分とは被相続人の生前に被相続人に対して療養看護などをすることで、被相続人の財産の維持または増加に貢献することです。

その維持あるいは増加分に相当する財産を多く相続することができると考えられますが、他の相続人にとっては、実際にどの程度の寄与があったのかを確認することができないことも多く、寄与分を主張する相続人と寄与分を主張される相続人とで主張が食い違うケースが多く、相続財産に不動産を含むか否かに関係なく、寄与分を主張する相続人がいると遺産分割がスムーズに進まないことが多いのです。

そのために遺産分割協議が成立しない場合、最終的に家庭裁判所での遺産分割調停・審判によって決着をつけることになります。

調停・審判による場合、単に介護・看護を行っていた場合や被相続人の事業を手伝っていたというだけでは、ほとんど認められません。寄与分を主張するなら、遺産分割協議の場においてより強固に主張する必要があります。

1.5 特別受益を主張する相続人がいる場合

特別受益を主張する相続人がいる場合にも、遺産分割協議でトラブルになることが多いケースです。特別受益とは、相続人が被相続人の生前に被相続人から贈与などで特別な利益を受けたことを言います。

例えば大学に進学するために被相続人の家庭の水準を超える贈与を受けた場合には、特別受益があったと考えられます。一方で、同じような贈与であっても、被相続人の家庭の水準の範囲内であると考えられるものである場合には特別受益には該当しません。

この場合、被相続人の生前に贈与を受けた相続人は「特別受益を受けていない」と主張し、贈与を受けていない相続人は「その贈与は特別受益に当たる」と主張することとなって両者の意見が対立し、遺産分割協議の場では解決できずに家庭裁判所での遺産分割調停・審判になることもあります。

特別受益に該当する金額がある場合には、その金額を法定相続分から差し引いて相続分を計算します。その金額がいくらになるかを計算する際にも争いになることが多いために、特別受益を主張する相続人がいる場合には、遺産分割がスムーズに進まないことがあるのです。

1.6 被相続人に隠し子(非嫡出子)がいた場合

法律上の婚姻関係以外から生まれた子であっても、相続の権利については嫡出子とまったく同じ扱いを受けることになります。

平成25年以前には、「非嫡出子の遺産相続割合は嫡出子の2分の1」という民法の規定がありましたが、現在は削除されて嫡出子とまったく同じ割合の遺産を相続する権利が認められています。したがって嫡出の兄弟姉妹間で遺産分割協議をまとめた後になって非嫡出の兄弟姉妹が現れて自分にも遺産を分けて下さいと言ってきたら、遺産分割協議をやり直す必要があります。

遺産分割協議は相続人となる人全員が参加して行う必要がありますので、もし相続人の一部を排除して遺産分割協議をまとめたとしても、その遺産分割協議は無効になるからです。

このような二度手間を避けるためにも、相続が開始したらまずは入念に相続人の調査を行う必要があります。具体的には被相続人の戸籍を丹念に調べて過去に離婚歴などがある場合には、相続人となる人が別にもいないかどうか調査しなければなりません。

また嫡出の兄弟姉妹とそれ以外の兄弟姉妹間で遺産をめぐって話し合いを行うのは、とかく感情的になってしこりを生みがちです。遺産分割協議が上手くまとまりそうにない場合には弁護士などの専門家に.間に入ってもらって連絡を取り合う方法がスムーズに遺産分割が完了する可能性が高いと言えます。

2. 土地を相続人全員の共有のまま放置しない

相続財産に土地がある場合には兄弟姉妹間でトラブルになることが多いからと言って、その土地を共有のまま放置していることには大きなリスクが伴います。

それは、共有となっている土地は、共有者全員の同意がなければ売却することができないからです(民法251条)。

土地を相続した後も相続前と同様にその土地を利用し続けるとは限らず、相続人はすでにマイホームを持っていることもあれば、相続した土地が住んでいる場所から遠いために管理することができないこともあるでしょう。その際、その土地を単独所有しているのであれば簡単に売却することができるのですが、共有になっていれば共有者全員の同意が必要になりますので、共有者の誰かが一人でも反対するとその土地を売却することはできません。

そのために共有になった土地はそのまま保有し続けることになることが多いのです。そして売却することができずに保有し続けた土地は時の経過とともに2次相続、3次相続と共有者全の数がさらに増えて売却することはもちろん、その土地を誰かが利用することすら難しくなり収拾がつかなくなることもありますので、遺産分割協議で揉めることを嫌って土地を簡単に共有にすることは避ける方が望ましいのです。

3. 土地を遺産分割する方法

相続財産に土地がある場合には、できるだけ土地を共有することは避けなければならないのですが、土地をそのままの形で単独相続した場合には、土地を相続しなかった相続人から不満が出ることも少なくありません。そこでさまざまな方法で遺産分割を行うことを検討する必要があります。

3.1 遺産分割協議

相続が発生して遺産分割を行う際、被相続人の生前に遺言書を残していれば、その遺言書に従って遺産を分けることになるために、トラブルになることは少ないのですが、被相続人が遺言書を残していない場合もしくは遺言書の内容が不服な場合には、相続人全員が話し合いをして、土地など相続財産の分割方法を決めることになります。

これを遺産分割協議と言います。遺産分割協議にはすべての相続人が参加しなければならず、もし参加していない相続人がいれば遺産分割協議は無効になります。そして最終的に合意した内容を遺産分割協議書にまとめて記載し、相続人全員が署名捺印((実印)しなければなりません。

遺産分割協議書がなければ、被相続人の銀行口座から相続人の口座に払い戻しを行う手続きや、相続した土地の名義変更(相続登記)などの手続きをすることができません。

なお遺産分割協議については必ず行わなければならないという義務はなく、期限もなく、いつ行っても構いません。もっとも相続税の課税対象になる場合には、相続税の申告期限が相続開始を知った日の翌日から10か月以内であることから、相続税の納税義務のある人は遺産分割協議を10か月以内に終わらせることが望ましいのです。

そのため遺産分割協議書は通常行政書士や司法書士などの専門家に作成を依頼します。遺産分割協議書の作成費用は遺産総額の0,5%~1%が目安となります。

3.2 相続放棄

相続放棄によって遺産分割を行うという方法も実際にはよく行われます。相続放棄とは、相続人が被相続人の有した権利義務を一切引き継がない相続の方法です。

通常相続放棄は、被相続人の財産が明らかに負債の方が大きい場合に行います。親が大きな負債を抱えたまま死亡した場合において相続放棄をすると相続人は初めから相続人でなかったものとみなされて一切の債務を免れることができるため、大きな効果があります。

もっとも実際には親がプラスの財産を残している場合であっても、兄弟姉妹間で誰かに資産を寄せるために相続放棄が使われることが多いのも事実です。

例えば相続財産が3000万円の自宅の土地・建物と50万円だけであり、姉は結婚して遠方で生活基盤があり、弟が親の実家にずっと住んでいるようなケースにおいて、姉は夫の収入で十分な暮らしをしていて、とくに親の遺産を引き継ぐ必要性を感じないで、さらに弟が実家に住んでいるのであれば、弟にその実家の土地・建物を引き継いでもらう方が合理的であると考えているような場合では、姉が相続放棄をして、弟にすべての相続財産を寄せることによって遺産分割を行うことになります。

姉の相続放棄によって自宅の土地・建物が弟の単独所有となって共有状態を解消することができるのです。

相続放棄の手続きは、自己のために相続が開始したことを知った日から3か月以内に「相続放棄申述書」を被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出することによって行うことができます。また相続放棄は相続人の1人が単独で行うことができるため、遺産分割協議のように相続人の全員が何度も話し合う必要もありません。また、費用も3,000円弱程度で可能であるため、遺産分割協議書を作成するよりもはるかに安くなります。

3.3 代償分割

代償分割も相続財産を分割する方法の一つです。代償分割とは、一部の相続人が相続財産を多く相続したことによって不公平が生じた場合、その相続人が他の相続人に対して代償金を支払うことで調達する方法です。

例えば相続人が兄弟2人で相続財産が3,000万円の土地と1,000万円の現金というケースにおいて、兄弟2人の法定相続分は2,000万円ずつとなるところ、兄が3,000万円の土地を相続し、弟が1,000万円の現金を相続した場合には兄弟間に不公平が生じますので、3,000万円の土地を相続した兄から弟に1,000万円の代償金を渡すことで、双方とも2,000万円ずつ相続したことになるため、平等に資産を分けることになります。

ただ、代償分割をしようとする場合は、代償金を渡す相続人に相当のまとまった現金がなければすることができませんので、現実には選択しにくい分割方法であると言えます。

3.4 換価分割

換価分割とは、遺産を売却することによって得た現金を相続人同士で分ける遺産分割方法です。不要な土地を相続した場合には、最も現実的な分割方法となります。

自宅の土地・建物の場合、相続人のうち誰かが住むというように、相続人が引き続き必要とする不動産の場合、売却するという選択ができないために換価分割はできません。

しかしながら、とくに相続人が利用する予定のない土地であれば、売却して換価分割することが最も公平に分割できる方法になります。不要な土地であれば、共有のまま売却して現金を相続人同士で分ける方法がオススメです。

注意すべき点は、共有状態のまま売却することになるため、売却価格の判断が兄弟姉妹間で分かれた場合、全員が同意しなければ売却できないことです。従って共有の土地を売却する場合は、「いくら以上の買主が現れたら売る」という最低売却価格をあらかじめ兄弟姉妹間で決めておくことがポイントになります。

最低売却価格を決めるには複数の不動産会社に査定を依頼し土地の価格を兄弟姉妹間で冷静に眺めることが必要になります。

相続した土地を売却した場合、税金が発生する可能性があり、税金が発生すれば換価分割は、税引後の手取り額を分割することになります。次の式で計算した譲渡所得がプラスの場合、譲渡所得税が発生するのです。

・譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用

・譲渡価額:売却額

・譲渡費用:仲介手数料等売却に要した費用

・取得費:土地の購入価額 これがわからない場合は、概算取得費(譲渡価額の5%)が取得費となります。相続した土地の場合取得費がわからないことが多いため、概算取得費がよく用いられています。

譲渡所得税の税率は

・土地の所有期間が5年超の場合、長期譲渡所得(所得税15% 住民税5%)

・土地の所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得(所得税30% 住民税9%)

相続の場合、被相続人の所有期間を引き継ぎますので、被相続人が既に5年以上保有していれば、長期譲渡所得の長期譲渡所得の税率が適用されます。なお長期譲渡所得で概算取得費を用いる場合には、おおむね2割の税金が発生します。

3.5 分筆による現物分割

分筆(ブンピツ)による現物分割とは、土地そのものを物理的に分ける方法です。分筆とは土地を切ることを言います。100坪程度の土地であれば、2人兄弟で分筆しても50坪程度ですので、十分に利用価値があります。

例えば都心部の良い場所にある広いであれば、売却するのはもったいないという判断もあり得ます。その場合分筆して半分に切れば、相続人のそれぞれが土地を利用することができます。

半分にしてそれぞれ単独所有にしておけば、例えば兄はその土地に自宅の建物を建て、弟はその土地を売却するという選択も可能です。現物分割では、相続人のそれぞれが土地を自由に使えるというメリットがあります。

ただし現物分割を選択する場合は、その土地が十分に広い面積が必要になります。40坪程度の土地であれば、半分に切ると20つぼになりますので、狭すぎて使い道が無くなり逆に価値を下げてしまうため、現物分割には不向きとなります。一戸建ての敷地は40~60坪なので、2人兄弟で現物分割を選択する場合は、少なくとも80坪以上の広さが必要になります。

土地を分筆するには、土地の境界がすべて確定していることが条件となります。

・土地の境界には隣地との境界(民民境界)

・公道との境界(公民境界)

の2種類があり、分筆を行う際には両者ともすべて確定する必要があります。官民境界を確定するには、道路と正対する側の所有者の同意も得る必要がありますので、その数が多いほど時間もコストもかかります。場合によっては、100万円以上、半年以上かかることもあります。

土地には原則として幅員が4m以上の道路に間口が2m以上接していなければ建物を建てることができないという接道義務があります。無道路地は利用価値や価格を大きく下げることになりますので注意が必要です。

土地は分筆の仕方によって価値の異なる土地を生み出すため注意が必要です。土地を分筆するには間口が十分に広い土地の方がしやすいのです。分筆しにくい土地を無理に分けてしまうと余計に価格を落とす原因となります。

分筆しにくい土地の場合には、売却による換価分割も併せて検討することが重要です。分筆せずに売却した方が価格は高くなる可能性もありますので、分筆による分割は十分に検討した上で実行するのが肝要です。

まとめ

法定相続分で遺産分割を行う場合には、兄弟姉妹それぞれの相続割合は平等となるのが建前ですが、実際にはそうシンプルに分割できることはまれです。

特に遺産が不動産である場合には、平等に分け合うことを重要視しすぎたあまりに、結局はコストがかかって全員の取り分が少なくなってしまった…というようなことも少なくありません。

兄弟姉妹の間の相続では、「話し合いができればもっと良い解決方法があるのに、感情的なしこりがあってそれができない」ということも良く起こります。

兄弟姉妹間での遺産相続を個々人がメリットの大きい形でまとめるためには、少し高い視点でながめたときに、より最適な方法がないか模索する必要があります。

このような方法を模索するにあたっては、遺産相続の問題を専門にしている弁護士や司法書士・行政書士などの法律の専門家に相談することがより良い解決につながることもあります。

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