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相続廃除とは?特定の人に遺産を相続させないことができるの?

相続においては、自分の財産を特定の人に相続させたくないという場合もあります。そのような場合は、相続廃除するといった方法も考えられます。相続廃除は遺言書によって特定の相続人を指定することも可能です。

相続廃除の効果や要件は、どのようなものがあるのかということを解説していきます。 

1.相続廃除とは?

相続廃除とは、自分の財産を特定の人に相続させたくないという場合に行うことができます。例えば、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりした場合に、その相続人を廃除して相続権を奪い、自分の財産を相続させないといったことが可能です。

相続排除の対象者は、遺留分を有する指定相続人のみです。遺留分が認められていない兄弟姉妹は対象者にはならないので、兄弟姉妹に相続させたくない場合は遺言書の作成が必要となります。

2.相続廃除の要件はなにがある?

相続廃除は相続人の権利を奪う行為なので、簡単に認めるわけにはいきません。「喧嘩したから相続させたくない」などの理由だけでは認められないことになります。そのため相続廃除にはきちんとした要件があります。

特定の要件を満たしていなければ、いくら相続人を廃除したいからといっても、相続廃除されることはありません。その要件としては以下の3つがあります。

・相続人が被相続人へ虐待を加えた
・相続人が被相続人へ重大な侮辱行為を行った
・相続人にその他の著しい非行がある

相続では財産を受け継ぐ人を相続人、亡くなった方のことを被相続人といいます。相続人が被相続人に対して、上記の行動を行えば相続廃除を認められる可能性は高くなります。

ここでは、それぞれの内容について詳しくみていきます。

2.1.相続人が被相続人へ虐待を加えた

相続廃除が認められる条件には、相続人が被相続人へ虐待を加えたというものがあります。虐待というのは日常的に暴行を加えたり、罵声を浴びせたりするなどの行為です。

また、要介護状態の被相続人の介護をしないなどの行為も、被相続人への虐待にあたります。このような行為を行った相続人については、相続廃除することが可能です。 

2.2.相続人が被相続人へ重大な侮辱行為を行った

相続人が被相続人へ重大な侮辱行為を行った場合も、相続廃除が認められる可能性があります。重大な侮辱行為とは、被相続人に対して日常的に侮辱する言葉を浴びせたり、名誉を傷つけたりする行為です。

また、被相続人の悪口を言いふらしたり、秘密を暴露したりすることも重大な侮辱行為にあたります。このような行為を行った相続人に対しては、相続排除することができる可能性があります。

2.3.相続人にその他の著しい非行がある

被相続人に虐待を加えた場合、被相続人に重大な侮辱行為を行った場合のほかにも、著しい非行がある場合は相続廃除することが可能です。

例えば、重大な犯罪を犯したり、仕事をせず被相続人の金を使い込んだり、 家出を繰り返したりする場合がこれにあたります。 このような行為を行った相続人に対しては、相続廃除を行うことが可能です。

3.相続廃除を行うとどうなる?

相続廃除を行うと相続権を剥奪することができますが、その他にはどのような効果があるのでしょうか?

相続排除を行うと相続廃除された方は遺留分もなくなります。しかし、相続廃除を行っても代襲相続することは可能です。

ここでは、相続排除を行った場合の遺留分と代襲相続について詳しく見ていきます。

3.1.相続廃除を行うと遺留分もなくなる

遺留分とは、法定相続人の権利を守るための制度です。

例えば、遺言書で「すべての遺産を愛人に相続させる」と記したとします。しかし、配偶者がいた場合、配偶者が遺産を相続できないのはあまりにも不公平ですね?そのため、遺留分という制度が認められていて、配偶者は一定の割合で遺産を取り戻すことができます。

このことを遺留分減殺請求権といいますが、相続廃除を行った場合、廃除された指定相続人は遺留分の権利も剥奪されることとなります。

そのため、遺留分が認められている相続人に、遺産も遺留分も渡したくない場合は、遺言によって相続させない方法ではなく、相続廃除を検討した方がよいでしょう。

3.2.相続廃除を行っても代襲相続は可能

相続人の子供や孫が、相続権を受け継ぐことを代襲相続といいます。例えば、 被相続人の子供が、被相続人が亡くなるよりも前に亡くなっていた場合は、その子供(被相続人からは孫にあたる)が相続権を受け継ぐこととなります。
相続廃除を行った場合でも、この代襲相続は可能です。つまり、被相続人が自分の長男に遺産を相続させまいと相続廃除した場合でも、長男の子供は被相続人の遺産を相続することができます。

そのため、相続廃除行う場合は代襲相続の点において注意が必要です。指定した相続人に対して相続廃除を行うことが可能ですが、その子供や孫までは相続廃除の効果が及ばないことを覚えておきましょう。

4.相続廃除の手続き方法は?

相続廃除を行うためには、どのような手続きが必要なのでしょうか? 相続排除を行うためには以下の2つの方法があります。

・家庭裁判所に相続廃除の申請をする
・遺言書により相続廃除する

どちらの方法でも相続廃除することは可能ですが、遺言書の場合は書き方によっては無効になる場合もあります。
ここでは、上記の2つの方法について詳しく見ていきます。

4.1.家庭裁判所に相続廃除の申請をする

被相続人が亡くなった時に、相続することが推定される相続人のことを「推定相続人」といいます。自分が亡くなった場合に、自分の財産を相続することが推定される相続人、すなわち「推定相続人」の廃除を家庭裁判所に申請することにより、相続廃除することが可能です。

被相続人は推定相続人の相続廃除を家庭裁判所に申請し、家庭裁判所から相続廃除の審判があれば、「指定相続人廃除届」を市町村役場に提出することとなります。

4.2.遺言書により相続廃除する

相続廃除は遺言書によっても可能です。遺言書に特定の相続人の相続排除する旨を記載しておくことにより、相続廃除を行うことができます。そのためには、遺言書には遺言執行者の指定もしておかなければなりません。

遺言執行者は遺言書に特定の相続人の相続廃除する旨が記載されていた場合は、被相続人が亡くなった後に遺言執行者が家庭裁判所に廃除申請を行わなければなりません。

また、遺言書の書き方によっては無効になる可能性もあるので、遺言書で相続廃除を行う場合は一度専門家に相談したほうが良いでしょう。

4.3.相続廃除は取消すこともできる

相続廃除は、被相続人がいつでも廃除の取消しを家庭裁判所に請求することが可能です。相続廃除の取消しは、家庭裁判所に申し立てる方法と、遺言書によって行う方法があります。

相続廃除の取消しを家庭裁判所に申し立てる場合は、推定相続人廃除取消審判申立をし、家庭裁判所で審判があれば「指定相続人廃除取消届」を市町村役場に提出します。

遺言書によって行う場合は、相続廃除を取消す旨を記載しておくことにより、相続廃除の取消しをすることが可能です。

5.相続欠格と相続廃除はどう違う?

相続廃除と似たような制度で相続欠格というものがあります。どちらも相続人の相続権を剥奪するものですが、どのように違うのでしょうか?

ここでは、相続欠格と相続廃除の違いを説明していきます。

5.1.相続廃除は被相続人の意志表示が必要

相続欠格と相続廃除の大きな違いは被相続人の意思が必要かどうかです。相続欠格の場合は一定の要件に該当すれば、相続欠格となり相続人から除外されることとなります。

しかし、相続廃除の場合は一定の要件に該当したとしても、被相続人が相続廃除の意思を示さなければ相続廃除されることはありません。

例えば、相続欠格事由の中に「故意に被相続人や相続人を殺害した者」というものがあります。この場合は、故意に被相続人や相続人を殺害した人は、強制的に相続欠格として相続人から除外されることになります。
しかし相続廃除の場合は、被相続人に虐待を加えたからといって何も手続きをしなければ、相続人から廃除されることはありません。

5.2.相続廃除は家庭裁判所の審判が必要

相続廃除の場合は、相続欠格と違い家庭裁判所の審判が必要です。遺言書で相続廃除を行う場合も、家庭裁判所に廃除申請を行わなければなりません。

その点、相続欠格の場合は強制的に相続人から除外されることになるので、家庭裁判所の審判も必要ではありません。

5.3.相続廃除は取消すことが可能

相続廃除は家庭裁判所や遺言書により取消すことが可能です。しかし相続欠格の場合は、欠格事由に該当すれば強制的に相続人から除外されてしまうため、基本的に取消すことができません。

そのため相続欠格に該当すれば、生前に被相続人から許しを得て、他の方法で財産を受け継がなければなりません。
このような点においても、相続廃除と相続欠格は大きく違います。

 

まとめ

生前、被相続人に対して虐待を加えたり、侮辱を加えたり、その他の著しい非行をした相続人は相続廃除することは可能です。しかし、相続廃除の対象者は遺留分を有する相続人でなければなりません。

相続廃除を行うと遺産を相続する権利が剥奪されるので、遺留分も失うこととなります。しかし、代襲相続は行うことができるので気をつけておきましょう。

相続廃除は家庭裁判所での審判、遺言書により行うことができますが、相続欠格と違い被相続人の意思が必要となります。被相続人が相続廃除する意思がないにも関わらず、周りの相続人が相続廃除を行うことはできません。
例え被相続人が虐待を受けていた場合であっても、被相続人に相続廃除する意思がなければ相続廃除を行うことができないということ覚えておきましょう。

また、相続廃除を検討する場合、相続廃除の要件に該当するのかということの判断は難しいです。相続排除の要件に該当するのかどうか分からない場合は、相続の専門家に相談してみましょう。

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