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自己資金なしでも不動産投資?「資料改ざんという」不正融資の行きつく先

報道によると、住宅ローンを手掛けるアルヒ(株)が、投資用マンションへの融資を巡る仲介案件で、借入希望者の審査資料を改ざんしていたという。

あれほど世間を騒がせたスルガ問題と同じ構造の不正融資の事例が、国内最大手の住宅ローン専門の金融機関でも行われていたということは、衝撃に値する。

この報道が事実だとすると、不正融資を受けたマンションの買主は「期限の利益の喪失」と呼ばれる状況に陥り、ローンの残額を一括で返済する必要がでてくる。もしそれができなければ、その先に待ち受けるのは「自己破産」だ。

不動産業者にすべてを任せて物事を進めると、自分の一生を棒に振りかねない。そうならないために心がけることとは何だろうか?

本記事では不動産の取得と融資について、特に買主が気を付けるポイントを解説する。

1. 投資としてユニークな不動産

1.1 金融機関から借り入れてできる唯一の投資法

数ある投資の中でも、「不動産投資」は極めてユニークだ。その理由は、不動産投資が金融機関からの借入でできるものだから。
いわば、「人の褌(ふんどし)で相撲がとれる投資」であり、この部分が株や債券への投資とは大きく異なる。

多くの投資家にとって理想の不動産投資とは、「自己資金の持ち出しをなるべく少なくし、できるだけ多くのお金を金融機関から借り、その投資から利益を生み出す」ということだろう。それを実現させることができれば、「自分の手持ち資金を減らすことなくお金を増やせる」という理想の状態を作ることができるからだ。

1.2 毎月の手取り収入の他にも隠された利益

不動産投資は、毎月の家賃収入からローンの返済分を引いた収入が手残りとして「目に見える利益」になるが、他にも隠された利益が存在する。 それは「ローンの元本分の返済金額」だ。

不動産のローンは、返済が進むほど、金融機関からの借入残高は減っていく。不動産の売却時には、売却金額からローンの残債を差し引いたものが税引き前の利益として手元に残るので、毎月のローンの元本分の返済も、「目に見えない利益」と考えることができる。

1.3 「Wのゲイン」を狙える不動産投資

このように不動産事業では、うまくいけば毎月の家賃収入からローン返済を差し引いた手残り(インカムゲイン)と、不動産を売却したときから得られる利益(キャピタルゲイン)の両方を狙える。

もちろん、不動産投資のすべてがうまくいくとは限らないので、物件の立地や価格、そして融資の条件、更には委託する管理会社の手数料や空室率など、考えられる条件やリスクのすべて考慮し、購入の判断を下さなければならない。

そこが不動産投資の難しさであり、面白さでもある所以だが、うまく運用ができればこんなに美味しい投資は他にはないので、どの時代も不動産事業を目指す投資家は後を絶たないのである。

2. 融資の承認は、「自己資金」と「返済能力」の組み合わせで決まる

2.1 自己資金と返済能力

さて、この不動産事業だが、参入したくても誰もが簡単にスタートできるわけではない。
収益不動産の購入には、通常「自己資金」と呼ばれる元手資金が必要だからだ。。
金融機関にもよるが、その額はだいたい物件価格の1割から2割というところが多い。

この条件で考えると、1億円のマンション1棟なら自己資金は1,000万から2,000万。
2,500万円の新築ワンルームマンション一部屋でも、250万から500万ほどが必要となる。

さらに、この自己資金を準備できたとしても、職業や年収、そして保有する資産残高を融資先の金融機関に提出し、自分がローンの残金をきちんと返済できる能力があるということを証明しなければ、融資の承認は下りないのだ。

2.2 「フルローン」と「オーバーローン」

不動産投資では、通例金融機関ごとに定められた自己資金が必要なのは前述の通りだが、投資家の属性によっては自己資金を求められず、すべての購入資金を金融機関が融資してくれるケースもある。

例えば、融資を受ける買い主に十分な資産と信用があり、その人の返済能力が高いと認められた場合などは、金融機関が満額の物件価格や、時には登記費用や不動産取得税などの諸費用分までをも含めたローンを出すこともある。

これらはそれぞれ「フルローン」や、「オーバーローン」と呼ばれているが、自己資金がなくても不動産を手に入れることができるので、投資家からは大変な人気だ。
しかし同時に、これには大きな信用力が担保として求められるので、融資に求められる基準が、より高くなるのが普通である。

2.3 自己資金がなくてもできる不動産投資

信用力の低い人が、自己資金なしでもフルローンやオーバーローンを使い、不動産を購入できる方法はあるのだろうか?

原則としては「ない」。
しかし不正行為として以下のような取引が行われているのが実情である。

例えば、自己資金や購入の諸費用分を含めた金額を金融機関から借りるために、売買価格の異なる契約書を2通作成するというもの。

銀行用には実際の売買価格を水増ししたものを提示し、より多くのローンを引き出し、実際の売買は元の価格で行う。2つの契約書に記載された差額が余剰金となり、それを自己資金に充当すれば、自己資金がなくても不動産は購入できる。これは「二重売買契約」と呼ばれる不正行為だ。

または、自分の年収や資産残高を偽装して金融機関に提出する方法。書類の改ざんによって、信用力を高め、満額の融資を引き出せることもある。

当然ながら、これらは正規の取引ではなく不正によって物件を取得するという裏技だが、残念ながら最近のニュースで、大手の金融機関でもこのようなことが行われていたということが発覚してしまった。

3. 跋扈(ばっこ)する書類改ざんという「不正融資」

3.1 共通するスルガとアルヒの不正融資問題

どうしても物件を手に入れたい投資家と、売買手数料を得たい不動産業者、そして融資を出して実績を上げたい金融機関の担当者。
不動産の取引には、この3者がキープレーヤーとして登場するが、全員がハッピーになるためには、何としてでも融資を承認させ、物件の売買を成立させればよい。

しかし、買主の信用力が十分ではなかったり、そもそも自己資金が準備できなかったりする場合、最後の手段として行われるのが、「融資審査書類の改ざん」という不正行為だ。

少し前に世の中を騒がせたスルガ問題も、今回のアルヒの不正融資のニュースも、報道が事実ならやっていることは基本的には同じだ。

融資資料の改ざんでは、銀行預金の残高にゼロを一桁増やして十分な資産を持っているように見せかけたり、給与明細の数字を修正して見た目の年収を上げたりするということが行われる。

コピーされた銀行口座の残高や給与明細の数字を偽装し、見せかけの資産の残高を積み増すことによって、買い主の信用力を高め、より多額の融資を引き出すという手法は、プレーヤー全員にとって都合のいい「三方良し」の取引で、その不正は黙認される。

問題は、この不正行為が、買主が知らないところで行われていることがあるということ。 スルガ問題もアルヒ問題も、不動産業者と金融機関の担当者がグルになり、書類の改ざんをしていたというから、この問題は非常にたちが悪い。

買主は、裏で何が行われているかきちんと理解していないまま、不動産業者の言われた通りに資料を提出し、すべてが順調に行っていると信じて、決済の日を迎えることになる。

スルガ問題もアルヒ問題も、その規模は違えど、行われた不正行為はこのように同じ性質のものだったのだ。

3.2 買主を地獄に突き落とす「期限の利益の喪失」

買主がやっと手に入れた不動産。
夢にまで見た不動産事業に参入することができたことは喜ばしいが、物事がこのまま平和に終わらないこともある。

スルガ問題もアルヒ問題も、どこからか不正融資の情報が漏れ、社会問題となってしまった。
こうなると融資を承認した金融機関としても追跡調査をしないわけにいかず、数々の不正行為が明るみに出ることになる。

その結果、金融機関は、ローンの契約書の条項に則り、不正に貸し出されたローンの回収に走り出す。 これは「期限の利益の喪失」と呼ばれており、債権者(金融機関)が、債務者(買主)に対して、債務の履行を請求できる権利だ。 つまり、融資申請資料を改ざんし、金融機関を欺いて引き出したローンの契約はそもそも有効ではないので、「ローンの残額を今すぐに一括返済してくださいね」ということになる。
こうなるとほとんどの買主は返済に困窮してしまう。

(参考:北洋銀行 銀行取引約定書のご案内 第5条(期限の利益の喪失)②の3)
https://www.hokuyobank.co.jp/info/pdf/contract_120110.pdf

(参考:「フラット35」不正、一括返済要求開始
https://www.kenbiya.com/ar/ns/jiji/etc/3913.html

3.3 売却できなければ「自己破産」

ローンの残債の一括返還を迫られた投資家ができることは、基本的に3つしかない。

1つ目は、手元にある資金で残債の全額を一括で返金すること。
しかし、高額な不動産を購入した場合、それができるのはごく一部の富裕層に限られるだろう。

2つ目は、物件を売却し、その売却金額でローンの残債を支払うというもの。
この方法を使う場合、ローンの残債以上の価格で物件を売却できなければ、足りない分は自分の持ち出しになってしまう。

ローンの残債以外にも、不動産の売却取引には多額の手数料が発生する。
例えば売却の仲介手数料。これは通常売買価格の3%+6万円の合計に消費税を加算したものだ。

仮に先ほどの1億円のマンションの場合、運良く1億円で売れたとしても、仲介手数料が別途336万円程発生する。2,500万のワンルームマンションなら89万円という手数料を、物件の売却を仲介した業者に支払わなければならない。

その他にも不動産の売却には、抵当権抹消の登記費用、固定資産税の日割り分、売買契約書の印紙代など、様々な諸費用が追加され、そのすべてをカバーするにはより高値でその物件を売却する必要がある。

しかし、売買価格の上昇は、その分だけ購入希望者を減少させることにもつながる。
売りたくても買い手がいない。こんな状況になったとしても、ローン一括完済の期日は待っていてはくれないのだ。

そうなると残された道は最後の1つしかない。
最悪の結末の「自己破産」である。

4. リスクを抑えた不動産投資のために知っておくべきこと

4.1 健全なローンが健全な投資結果をもたらす

資産を形成するために始めた不動産投資の失敗が、自己破産という最悪の結果にならないようにするためには、どのようなことに気を付けたらよいのだろうか?

まずは、「健全なローンが健全な投資結果をもたらす」という大原則に従うことだ。
金融機関は、物件を評価し、個人の信頼度を見極め、安全だと思われる範囲で融資を出す。
それをごまかすために融資資料を改ざんし、物件を手に入れたとしても、それはとてもリスクの高い取引になってしまう。

安心して投資をするには、各金融機関が定めた条件で、正当なローンを借りること。
そのためには、ある程度の自己資金を準備しておく必要がある。
自己資金が準備できないうちは、不動産投資は時期尚早だと認識し、まずはキャッシュを貯めることに専念しよう。

4.2 できるだけ長期の低金利融資を引き出す

審査が甘いからと言って、金利が高い金融機関でローンを借りると、いくら毎月の返済を行っても、元本がなかなか減らないという事態に陥る。返済負担を減らすためには、できるだけ低い金利で長期間借りるように努力をすることが大切だ。これが、長期で安定した不動産経営をもたらしてくれることになる。
借入額が大きいほど、1%の金利の違いが、後からものすごい差となってじわじわと効いてくる。借りるなら「長期で低金利」が鉄則だ。

4.3 「不正融資が疑われる契約」では売買契約をしてはいけない

融資申請書類の改ざんが、いくら不動産業者の主導で行われていたとしても、買主が最後まで全くそれに気づかないということはないだろう。

「銀行用に別契約書を作ったので、こちらにも署名捺印をしてください」
「資産があるという見せ金が必要なので、親や親戚から一時的にお金を借りて残高を増やせませんか?」
「こちらの方で金融資産の資料に少し手を加えますが、皆さんやっていることですからご安心ください」

このようなやり取りがあれば、それは不正融資が行われる前段階の可能性が非常に高い。

不動産業者とのやり取りの中で、「何かおかしい」と感じることがあれば、その疑問は徹底的に解明するべきだ。特に、融資先の紹介を不動産業者に依頼している場合は、より一層の注意が必要だ。

通常不動産の売買契約は、融資先の金融機関が内諾という形で決定されてから行われる。
その内諾を取る過程で、上記のようなやりとりがあれば、一度立ち止まろう。

不正融資かもしれないと気づくのが、不動産の売買契約の前ならば、契約自体がまだ発生していないのだから、その取引自体をキャンセルするのは何のペナルティーにもならない。

その時は今までの苦労はすべて忘れ、その取引きから手を引き、他の不動産業者と正当な手続きで不動産を購入できる方法を地道に探るべきだ。

5. まとめ

不動産は金融機関から正しく融資を引き出すことができれば、資産を大きく増やす可能性の秘めた投資になる。しかしその反面、不正行為によって不動産を取得すると、それがやがて大きなリスクになって、自分にのしかかってくることもある。
そうならないためには、充分な自己資金をため、適正な物件を適正な価格で購入し、より条件の良い融資先を探す必要がある。

世の中には星の数ほどの不動産会社が存在するが、そのレベルは玉石混交だ。
担当者のうわべだけの言葉に惑わされず、買主の立場でまっとうな不動産取引をする会社は、たくさんの不動産会社を回って話を聞けば、おのずと判断できるようになる。

そして、万が一「何か怪しい」と感じたら、その直感はだいたい正しい。
焦って先に進まず、自信がなければ信頼できる不動産投資の経験者に相談をしてほしい。

一度方向性を誤ると、人生取り返しのつかないことになりかねない。
そうならないよう、自分の基準を高く持ち、不正には絶対に加担しないという覚悟を持とう。より安全で安心できる投資のためには、時には夢にまで見た物件を「断る勇気」も必要なのだ。

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