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マネフェス:Session7 衰退する日本と日本人の資産防衛術

今回のマネフェスの大取りを飾るのは、元参議院議員の藤巻健史氏。『衰退する日本と日本人の資産防衛術』という、なんとも気になるテーマの講演と対談です。

会場は入れ替え制にもかかわらず超満員。日本の将来に対して悲観的になっているのは、どうやら私だけではないようです。パネルディスカッションの参加者の方々が、この講演から何かを学んで自己防衛に役立てようとしているのがひしひしと伝わってきます。

円がなくてランチに困る!?藤巻氏のポートフォリオ

はじめに藤巻氏の資産ポートフォリオを教えていただきました!ポイントは3つ。

1. 基本戦略は長期固定で銀行から借りれるだけ借入れし、不動産を購入
2. 日本円はほとんど持たずに外貨(主に米ドル)を購入
3. 仮想通貨にも投資

藤巻氏ご自身の分析では、「かなり偏ったポートフォリオだ」ということです。たしかにランチで支払う「円」がないほど日本円を米ドルに交換しているということですから、これはなかなか大胆な資産配分だと思いました。

さて、藤巻氏はなぜこのような戦略を取っているのでしょう?それは「日本の財政が極めて大変な状況にあるから」だそうです。

極めて深刻な状況に陥った日本の財政

会場のスクリーンに、世界各国のGDPに対する債務の比率を表すグラフが表示されました。これを見ると日本の債務レベルが際立って高いことがわかります。なんとその比率は230%!

数年前債務超過に陥ったギリシャでさえ190%ですから、この数値がいかに高いかということがご理解いただけると思います。ちなみにこの後に、イタリアの170%、そしてフランスや米国の120%と続きます。日本はダントツでトップなのですね。

「日本は税金で借金を返すのが世界で一番大変な国になってしまった。230%というのは、太平洋戦争直後の日本と同じレベルだ。」

「当時はものすごいハイパーインフレに加え、預金封鎖と日本円の新券発行が起こった。」

藤巻氏は過去に実際に起こったことをわかりやすく説明してくれました。

良い借金 vs. 悪い借金

藤巻氏は次のように続けます。

「日本の負債は赤字国債の発行によるもので、これは健全ではない借金です。」

これはどういうことでしょう?

実は借金には2つのタイプがあるそうなのです。それは「投資に使うための借金」と、「給与や利払いに使うための借金」。

後者は良くない借り入れで、日本の赤字国債と同じです。藤巻氏の説明によると、その「良くない」日本の借金額は、バブル崩壊後からの累計で、なんと1,105兆円まで膨らんでしまったということになります。一体なぜこんなことになってしまったのでしょうか?

危機を先送りにした日銀の異次元の金融緩和

「本来ならば日本は2013年に財政破綻してもおかしくはなかった。しかしこの年に日銀の金融緩和政策が始まり、日銀がお金を刷りまくり、国債を大量に購入し始めた。こうして危機が先延ばしにされてしまった。」

2013年に日銀がデフレ脱却策として採用した異次元の金融緩和の政策が、ここまで借金額を増やしてしまったということのようです。1998年には52兆円しかなかった国債発行額が、2019年9月末時点で480兆円まで膨らんでいるということですから、いかに急速にこの額が増えているのかがわかります。

莫大な借金をどうやって返すのか?

「借金だからいつかは返さなくてはいけない。でもどうやって返すのか?」

この問いに対し、藤巻氏は二つの可能性を示唆しました。一つ目は「大増税」。二つ目は「ハイパーインフレ」を起こすこと。ちなみに、「インフレ」というのは、お金の価値を減らすもので、「ハイパーインフレ」とは、お金の価値をほとんどなくしてしまうものという定義でした。

「大増税を実現できる政治家はいないだろうから、ハイパーインフレでしか財政問題は解決できないのではないか。」

と藤巻氏は結論付けます。

また、藤巻氏は次のような例でハイパーインフレを説明してくれました。

「例えばあなたがタクシーの運転手で、事業用の資金として銀行から1,000万円を借りたとします。今は返すのが結構大変。でもハイパーインフレが起こり、物価が上がり、タクシーの初乗り料金が100万円になりました。あなたはお客さんを10人乗せれば、銀行から借りた1,000万円を1日で返すことができますね。」

「今皆さんが銀行にお金を預けているということは、銀行にお金を貸しているわけです。そして国がお金を借りているという状態。これがハイパーインフレになると、国民から国への富の移転が起こります。」

モノの値段が上がることで、通貨の価値が相対的に下がってしまう。この例からもわかるように、ハイパーインフレになると「借金をしていた方が得」という状態になります。私たちが預金しているお金が、ハイパーインフレになると価値を失ってしまうということがわかりました。

ではどうやって危機に備える?

藤巻氏の考えでは、

「財政問題を解決させるには、ハイパーインフレが一番起こりうるシナリオである」ということ。

そしてそれに備えるために、ご本人は冒頭で公開されたポートフォリオで資産運用をされているということがわかりました。

「ハイパーインフレが起これば円は大暴落する(「ドル高円安になる」)から、積極的に米ドルを買っている。もしこの読みが外れて、日本が別の方法で財政問題を乗り越え、最終的に「ドル安円高」になったとしてもいいじゃないですか。その時はこれを、いざというときに備えた「保険料」だったと割り切ればいいと思います。」

確かに日本人は給与も預金も年金もすべて日本円で持ち、円に極端にリスクが集中しているので、藤巻氏の米ドルを積極的に持つという戦略は理にかなっていると思いました。ここで前半の藤巻氏の講演が終わり、後半の内藤氏との対談に移ります。

内藤氏のポートフォリオ公開

「円高になるか円安になるかわからなければ、円とドルを半分ずつ持つのが合理的」という主張を以前からされている内藤氏の現在のポートフォリオは、次の通りです。

1. 金融機関からお金を借りるだけ借りて不動産に投資
2. 通貨では外貨と円の比率が6:4
3. 仮想通貨を全資産の10%以内に抑えるよう投資

藤巻氏と内藤氏、お二人のポートフォリオ上の基本戦略はほぼ同じということがわかりました。内藤氏は将来「ドル高円安」になる可能性が高いと思っているので、外貨と円の比率を6:4にしているのだそうです。

ハイパーインフレはいつ起こる?

議題は再び日銀の異次元の金融緩和に移ります。藤巻氏は次のように話を展開しました。

「中央銀行が不動産や株式、そして長期国債のような価格が変動しやすい資産を持ってはいけない。世界の中央銀行で株式をこれほど持っている国など日本以外にはない。なぜなら中央銀行のバランスシートの評価がブレると、その国の通貨は売られまくることになり、信用問題に発展するから。しかし今の日銀は市場のモンスターになってしまった。」

内藤氏も続けます。

「日銀がETFを買いまくっているので、日本の会社の主要株主が日銀になってしまった。更に日銀はREIT(不動産)や国債も買っている。金利が上がれば 日銀が持ってる国債は評価損が出るし、株が下がればもちろんのこと、不動産の価格が下がればREITか損をするので、今の日銀のバランスシートとは極めて評価損が出やすい状況になっている。」

お二人の見解では、日銀の持つ資産のブレが大きくマイナスになった時に、大量の「円」が売られることにより、ハイパーインフレの引き金になる可能性があるということでした。更に藤巻氏は、もう一つのハイパーインフレを起こす可能性について、言及します。

「現在は、長期金利が低いままで抑えられている。 これにより地方銀行の経営が危なくなってきている。銀行の収益の根幹となるビジネスモデルでは、長期の金利と短期の金利に差があるのが普通だが、長期の金利が下がった影響で、長短期の金利差がなくなってしまった。この結果、地方銀行の経営が非常に厳しくなってきている。これがハイパーインフレになるもう一つのきっかけになるのではないかと思っている。」

内藤氏が深掘りします。

「日銀が長期の国債を買うことによって、「イールドカーブ」いわゆる長期金利の状態がフラットになってしまった。 そうすると短期で調達して長期で買うという銀行のモデルがうまくワークしなくなる。特に地方銀行のように体力がない金融機関の営業成績が悪化しきて、地方銀行が合併をし始めるということが実際に起こり始めている。そういうことがきっかけで、地銀の取り付け騒ぎ的なものが起こると、それがハイパーインフレの引き金になるかもしれないというリスクがあると思う。」

なるほど。ハイパーインフレは、地方銀行の経営悪化が表面化することでも起こりうるのですね。

国債価格が下がり、金利が上がるシナリオ

更に藤巻氏から、ドル円の為替の動きが国債価格や金利に及ぼす影響についての説明がありました。

「国債の金利が上がる可能性としては、「ドル高円安」が進んだ時。今は為替が1ドル110円あたりで止まってるけれど、何かの理由で1ドルが120円130円 と上がり始めたならば、消費者物価指数が2%を越してくると思う。(日銀の金融緩和策は2%のインフレを達成するためにやっているから)消費者物価指数が2%を達成すれば、もう日銀は国債を買わなくなる。すると国債価格はストンと落ちて金利が上がるきっかけになる。」

金利が上がればその分国債の利払いにもお金がかかるわけで、日銀はこれに耐えられずハイパーインフレが起こるかもしれないという、もう一つのシナリオなのでしょうか。こうやってお話を聞くと、ハイパーインフレになるきっかけは一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合って起こる可能性があることがわかります。

ハイパーインフレになったら起こりうる3つのシナリオ

「もしハイパーインフレになった場合、その鎮静策にはどのようなものがあるのでしょう?」
内藤氏のこの問いに対して、藤巻氏は3つの可能性を示唆してくれました。それは、

1. 日本円を廃止し、ドルを法定通貨にする
2. 預金封鎖と新券発行
3. 今の日銀を廃止して、新しい中央銀行を作る

起こりうる可能性としては3→2→1の順番ではないかということです。藤巻氏の解説を要約してみます。

「一つ目は、かつてベネズエラが採用した方法。ハイパーインフレで通貨が暴落してしまい、その通貨を辞めて新しい法定通貨にした。しかしこれは国の威信があるから、日本ではやらないと思う。」

「 二つ目は、日本が昭和21年に行った預金封鎖と新券発行。つまり、預金封鎖をして新しい日本円に切り替えるということ。昨年渋沢栄一の新一万円札を2024年に発行するという発表があったが、これはいったいどういう意味なのか?ちなみに2004年に福沢諭吉の新券が発行された時は、その2年前に新券の発表がなされた。今回はなぜ5年も前に発表するのか?実はこうやって前もって発表しておけば、堂々と新しいお札の準備できる。そして後で「福沢諭吉を明日から使ってはいけない」というように法律を変えてしまえば、新券発行が簡単に実現可能なのです。」

「三つ目の可能性としては、日銀を廃止して新しい中央銀行を作るということ。新しい中央銀行が新円を発行して、福沢諭吉を100枚と渋沢栄一を1枚というように交換するというように決める。これは実際に過去ドイツが行っていること。今の紙幣は「日本銀行券」と書いてあり、これは言わば日本銀行の負債。日銀が債務超過になり信用を失えば、日銀の発行する紙幣の価値が低下する。しかしたとえそのお金が紙くずになったとしても、これは憲法違反にはあたらない。」

藤巻氏のロジカルな説明が、3つのシナリオに現実味と説得力を与えます。

「仮想通貨」というもう一つのリスクヘッジ

対談もいよいよ佳境に入り、クライマックスを迎えます。実際にハイパーインフレが起こり、資産を海外に移すという事態になった場合に懸念される状況について、藤巻氏が解説します。

「ハイパーインフレが起こった時の沈静策として、仮に「新券発行」や「預金封鎖」ということになると、現実的に海外に資産を移すことが難しくなる。預金封鎖になれば、(銀行から海外に送金ができなくなるので)物理的に海外にお金を持ち出さないといけないことになる。しかし海外の銀行に口座を開設するには金融知識や英語も必要で、なかなか一般の人には実行するのが難しい。そう考えると、唯一海外に簡単に送金できる方法は「仮想通貨」しかないのではないか。」

たしかに日本の銀行に外貨預金をしていても、その銀行の預金が封鎖されてしまったら、その外貨も動かせないということになりますから、これは私たちに取って非常に大きな悩ましい問題です。

「仮想通貨を馬鹿にされる方も多いのだが、少なくとも馬鹿にするのは仮想通貨の口座を作ってからにしてほしい。今でさえその口座を作るのに1~2週間くらいかかるが、有事の時に国民が仮想通貨の口座開設に殺到してしまうと、その順番待ちで口座開設だけで3か月とか半年かかるなんてこともありうる。しかしこんなに時間がかかってしまうと、口座が開設されたときにはもうすべてが終わってしまっているから、今のうちに準備はしておき、何回か仮想通貨で送金をするという練習もしておいたほうが良い。」

内藤氏が応じます。

「いざという時、 危機が起きた時に仮想通貨の口座作るのでは、もう間に合わない。今から口座を作って、少額でも良いから海外に送金して海外で受け取るという練習をしておく。 そこで非常口を一個作っておく。この口座を使うかどうかはわからないが、使わなくてすむならそれはラッキーな事。」

「一つ注意をするならば、仮想通貨の価格の変動幅は、株式などよりかなり大きいということ。安く買って高く売るということは難しいので、保有するならビットコイン以外の主要な仮想通貨、例えばイーサリアムやリップルなどの時価総額が大きい通貨にも分散させるのが良いと思う。また買うタイミングも分散させる。上がっても下がってもドルコスト平均法でやり続ける。下がってしまう可能性もあるけれど、それがお宝になる時が来るかもしれない。まずは実際に仮想通貨の取引を始めててみて、自分なりに実験をして頂ければ良いと思う。」

こうして、お二人の対談は締めくくられました。

日本の抱える莫大な負債が、いつかハイパーインフレを引き起こす。その時に自分たちの資産を守るためのいくつかの具体的な方法を学ぶことができた、内容の濃い1時間でした。

私も今続けている投資信託の積み立てと同じように、仮想通貨の積み立てもすぐに始めなくてはと思いながら、会場を後にしました。

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