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マネフェス:Session4 米欧英中ロ – 世界の覇権争いの結末は?〜

ゲスト:
池田信夫氏(アゴラ研究所所長、SBI大学院大学客員教授、学術博士(慶應義塾大学))
渡瀬裕哉氏(パシフィック・アライアンス総研所長)

このセッションでは、10年前にアゴラ言論プラットフォームを立ち上げ運営する池田信夫氏と早稲田大学でアメリカの政治の研究をしていて2016年にデータ分析をもとにトランプ氏の大統領選挙での勝利を見事予測した渡瀬裕哉氏をゲストに迎え、モデレーターの内藤忍氏が2020年の投資戦略に大きな影響を及ぼしそうな問いを投げかける形で進みました。

1.グローバル経済における地政学的リスクはどこにあるか?

(渡瀬氏)一番あるのは台湾。地政学リスクは今どんどん低くなっています。アメリカの中東からの撤退は基本的な流れなので、中東の地政学的リスクは低いです。アメリカはベネズエラをひっくり返したいけどひっくり返してもそれほど影響ありません。一番影響があるのは台湾。台湾蔡英文総統を昨年共和党が上下両院議会演説に呼ぼうとして進んでいないが、香港の話があったから進むかもしれません。そうなると米中対立は選挙に向けてあり得ます。関税引上げはお互い傷つくので中国の個別企業に対する制裁はあり得ます。個別制裁が今年のリスクです。

2.米中問題は今後どのように展開していくか?

(渡瀬氏)関税は一息ついていて、夏くらいにかけて中国の個別企業に対しての制裁が行われます。中国は最初我慢するかもしれません。アメリカの動きを主導しているのは議会なので、中国も手の打ちようがないのです。マクロ経済的にはそんなに深刻ではありません。株式市場に対しては大規模な制裁をした日前後は影響があるかもしれないが、中長期的に続く話ではないのではないかと思います。

3.香港・台湾問題の今後の展開はどうなるか?

(渡瀬氏)アメリカ議会は香港を中国の全体主義の輸出という話で制裁をやるという話になるが、トランプ政権は香港のために米中対立をそんなに先鋭化させることはありません。議会の対応とトランプ政権の対応は全然違うと思います。中国側の香港の経済的位置づけは、上海に行けばわかるが、どんどん下がっています。中国側は持久戦。台湾についてはアメリカ側に今年米中対立でナショナリズムを盛り上げて選挙をしようという話があるので、そういう意味で台湾の方に注目しています。

4.ブレグジットで変わる欧州とイギリス

(池田氏)イギリスにとって大きく見るとマイナスだけどプラスがないわけではありません。EUは規制の多いうるさい超官僚的官僚機構。全くマイナスばかりでもないが、金融センターとしての位置づけは大きく下がることは避けられないでしょう。他のメリットが上回るとも考えられない。グローバルに見るとロンドンの金融センターとしての位置づけは高まっていました。大陸側で金融センターになれる所があるかというとありません。

(内藤氏)むしろ自由度が高まることによってイギリスにとってメリットが大きいのではないでしょうか。個別の国同士の関係を深めることで、スピーディに物事を決められるのではないでしょうか。

5.アメリカ大統領選挙のトランプ再選リスク

(渡瀬氏)今のところトランプ大統領の再選確率は4:6もしくは4.5:5.5くらいでトランプ大統領が不利だと思っています。金融機関の人達はトランプ大統領が再選だと思っています。共和党の人たちは上院も下院も自分達が取り戻すと言っています。今経済と選挙のリンクはちょっと崩れてきています。オバマ政権の途中から経済が良いことと投票行動に齟齬が生じてきています。例えば一番トランプ大統領から離れている層である高学歴の女性達は、自分の給料が月50ドル上がるのとMeToo運動を比べるとMeToo運動に共感があるので民主党に投票しています。SNSを使った選挙キャンペーンは民主党の方がかなりうまくなっています。 経済的なものと投票行動を分離させることができるようになってきています。もう一つはお金に関して、普通企業献金があるので共和党の方がお金を持っているが、民主党は小口献金が非常に増えています。昨年インターネットの献金額は1000億円が民主党に集まっています。民主党左派の勢いがかなり強まっています。このまま選挙に突入できたら民主党が少し優勢だが、最近弾劾と一般教書演説の時の対応で、4:6だったのが4.5:5.5位になってきています。それでも民主党の方が全体像は若干有利。ぱっとした候補者がいないからトランプ優勢という話もあるが、2016年の選挙で共和党の候補者はこの段階でまだ決まっていませんでした。候補者が決まった後が勝負。今回問題なのは民主党は候補者が全員力が同じ位で7月の党大会まで引っ張るかもしれません。党大会の密室でこの人と決まった時に、内部でサンダース支持者が脱落したりするかもしれません。

正直大統領がどちらになるかはほぼ五分五分、少しトランプが不利といったところだが、同時に行われる上院と下院の選挙で、2016年の時は共和党だったが、今回は上院も下院も民主党になる可能性があります。大統領も上院も下院も全部民主党になった場合、大増税、規制強化、軍事費を減らして社会保障にかけるという話で、日本にとって何一つ良いことはありません。株式市場は冷え込むでしょう。株式市場は民主党政権への交代をまだ織り込んでいません。金融機関の人たちはみんなトランプ再選と思っています。同じ見方の人には会ったことがありません。逆張りしているわけではないが、データで見る限りそうなのではないでしょうか。トランプ政権発足から3年経っているが、その間の州議会選挙、州知事選挙、国政選挙で全部共和党が苦戦しています。これだけ景気が良く株価が高ければ大統領の支持率は高いはずなのに、だいだい45:55。
それでも民主党に支持が集まる理由は、トランプ大統領のキャラクター。自分は共和党の政策はすごく良い、一般教書演説も完璧と思っています。それでも越えられないものがあります。トランプ大統領の発言はネガティブキャンペーンに使われやすいでしょう。世論は民主党に傾いていたが、弾劾の話(イメージはモリカケや桜問題)で民主党の一部が盛り上がって無党派層や穏健な民主党の人達は白けています。一般教書演説の際に教書を破いたのはネガティブキャンペーンに使ってくれという話。民主党は左派の勢いがあってお金を入れてくれて有利な環境だったのに暴走して手が付けられない状態です。民主党は余計なことをするから支持率が上がりません。今後のポイントは民主党の候補者がどの段階で絞られるか、早いほどよいでしょう。内部の密室で決めてサンダースが排除されると、サンダース支持者が投票しないので、民主党には致命的。民主党は自滅の道に向かっています。

6.米国と日本の財政赤字問題

(内藤氏)日本もすごいけどアメリカも財政赤字問題が深刻化してきています。最後はインフレしかないのではないかと考えるが、意外に金利は上がらないし、借金しても大丈夫じゃないかという説やMMT(Modern Monetary Policy)の考え方もあります。

(池田氏)今まで財政赤字注目していたけど、この5年間の変化は、財政赤字は経済のパフォーマンスにも相場にも影響を及ぼさなくなっていることです。金利がゼロからマイナスにはりついて、以前だったらこういう状況では金利がどんどん上がって危ないということになるが、今は全くなりません。むしろ日本はマイナスがどんどんひどくなる可能性があります。アメリカもトランプ政権になってから財政赤字がどんどん増えているが、気にする人はいません。
MMTはアメリカでは実はそれほど流行っていないが、出てきたのはMMTは基本的に金利を考えない理論で、MMTの理論の中に金利は存在していません。金利はゼロに張り付くという理論。だからアメリカでも日本でも受けています。財政赤字が経済に何の影響も及ぼさなくなった事態をどういう風に見るかは経済学者の中でもまだはっきりした定説がありません。サマーズやブランシャールはもっと財政赤字を出してもよいと、主流派の中でもそういう議論が出てきています。
大統領選挙でもみんな大きな政府を主張しています。サンダースのような極端に大きな政府か、トランプのようなほどほどに大きな政府かの違いくらいで、小さな政府はどこかに飛んでしまいました。

(内藤氏)まだ結論は出ていません。ある日金利がガーンと上がるかもしれないし、5年10年経っても相変わらず金利が上がらないかもしれないし、正直誰も答えはわかりません。圧がかかって閾値を超えると金利が上がり始めて大変なことになるとか、上がってしまうと財政負担が大きくなるから難しい状況になるので、万が一のこと考えておいた方がよいのではないかと考えています。

(池田氏)上がらない保証や根拠は誰も持っていません。パンデミックが本当に起こったらそういう可能性はあります。未来永劫金利が上がらない根拠を示す人はいません。サマーズは向こう50年自然利子率はマイナスと論文を書いているが、そこまで長期の話ではありません。

(内藤氏)この問題は短期的でなく、中長期的に頭の片隅に置いておかなければいけない問題だと思います。

以上、どれも2020年の世界と日本の経済に影響を及ぼしそうな論点で、とても興味深いセッションでした。
それぞれのポイントについて、あなたはどう思いますか?

アゴラ言論プラットフォーム http://agora-web.jp/

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