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山林の相続はどうすれば良い?山林を相続するときの注意点

相続財産の中に、預・貯金や有価証券などの金融資産や、ご実家の宅地などの不動産の他、山林が含まれているケースがあります。

故郷を離れて都市部で働いている方などは、そもそも実家で山林を所有していたことすら知らなかったという方も少なくありません。山林の相続は、果たして宅地などの不動産を相続する手続きと変わりはないのでしょうか? それとも何か特別な手続きが必要なのでしょうか? この、山林を相続するに当たっての留意点について考察します。

1.山林の区分

相続税を評価するに当たって、山林は以下の3種類に区分されます。

区分 概要 相続税評価への影響
純山林 市街地から遠く離れた山林 周辺の宅地の影響をほとんど受けない
市街地山林 市街地にある山林 周辺の宅地との影響を受ける
中間山林 市街地近郊にある山林 純山林と市街地山林の中間

一見、単純な山林の場所による区分のように思えますが、本質は相続税を評価するに当たって、宅地の影響をどの程度受けるかによる区分と言って良く、相続する山林がどの区分に属するかによって、相続税の評価方法がそれぞれ異なることを覚えておきましょう。

2.山林を相続する場合の手続き

次に、山林を相続する場合の手続きについて記載します。

2.1所有者の届出

自宅等、一般的な不動産の相続にはない手続きです。

2011年4月の森林法改正により「森林の土地の所有者届出制度」が定められ、2012年4月以降に森林の土地の所有者になった場合は、必ず90日以内に市町村へ届け出をしなければならないことになりました。

相続で山林を取得した場合も同様で、仮に遺産分割協議が終了していない場合でも、各相続人が法定相続分の割合で相続したものと仮定し、相続人全員の共有物として届け出る必要があります。なおこの場合は、遺産分割協議成立後90日以内に、再度届け出なければならないことに注意しましょう。

(市町村への届け出時に必要な書類)

・登記事項証明書・・・写しでも可
・権利を取得したことが分かる書類の写し・・・遺産分割協議書、遺言書、等
・土地の位置を示す図面
*相続登記に必用な、戸籍謄本等を集める必要はありません。

2.2土地活用の意思表示

この手続きも、一般的な不動産の相続にはない手続きです。森林組合は、森林の所有者を組合員として組織され、森林の維持管理に関する様々な業務を行っている協同組合です。

森林組合に加入し、森林の管理を任せたい、山林を売却したい、等の意思を表示することで、植林や間伐等の業務を委託することも可能で、買い手や借り手を見つけてくれる場合もあります。林業を継がれた方ならともかく、故郷を離れて給与所得を得ている方など、林業に馴染みがない方は、森林組合に加入し、作業を委託したいのか、それとも売却したいのか、最寄りの森林組合にその旨の意思表示をして置きましょう。

2.3相続登記

相続登記の手続きは、山林に特有のものではなく、宅地など不動産全般を相続した時に必要な手続きで、簡単に言えば、法務局で相続した不動産の名義を変更する手続きのことです。

2020年4月現在では未だ義務ではなく、登記をするべき期限も、登記をしなかったことに対する罰則もありません。そのため、山林を相続しても相続登記をしなかった人の数も少なくなく、所有者不明の山林が増えている要因の一つにもなっており、防災や災害復旧の妨げになるなど、様々な社会問題が発生しています。

こうした事態を受け、法務省でも相続登記の義務化や、所有権放棄の制度化を目指して関連法の改正が具体化されつつあり、既に法務局の登記官などによる調査でも所有者が特定できなかった土地については、裁判所の選任した管理者が売却できるようにする法案が、2019年5月17日の参院本会議において全会一致で可決、成立しています。山林に限らず不動産を相続した場合は、速やかに相続登記の手続きをすべきでしょう。

(相続登記に必要な書類)

・被相続人(故人)の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・対象となる山林(不動産)の固定資産評価証明書
・遺産分割協議書、又は、遺言書等
・新たに所有者となる人の住民票、印鑑証明書

3.共有財産のまま名義を変更しない場合の留意点

山林を相続しても、これまで林業に携わったこともなく、管理が大変なので売却したいと考える方も少なくないと思います。しかし、市街地にある利便性の高い土地ならともかく、山林となると、売却したいと思っても必ずしも売れるとは限りません。また、山林の場所の特定や、法定相続人通しの調整が難航して、相続手続きが遅延することもあるでしょう。

一方、相続登記と異なり、相続の手続きは必ず一定の期間内に行わなければなりません。例えば、相続放棄や限定承認は相続が開始したことを知った日から3ヶ月以内、準確定申告は4ヶ月以内、相続税の申告は10ヶ月以内と、それぞれ期限が定められています。期限内に調整がつかなかった場合は、法定相続人全員の共有財産という扱いになるため、そのまま名義を変更しないケースも散見されますが、その場合は以下の問題に留意しなければなりません。

(1)連絡や承諾を得づらい相続人が増える

重要な事はすべての法定相続人の同意を得て行う必要があります。仮に、将来森林組合や行政が買い手を斡旋してくれたとしても、相続登記をしていないと売却できないだけではなく、いざ名義変更しようとした時には、法定相続人も代替わりしており、当初の相続人の子や孫、等々、連絡や承諾を得づらい相続人が増え、所有権に関してトラブルが起きる場合も無いとは言えません。

共有名義のまま放置すればするほど、将来の手間が増えるだけではなく、山林所有者として大きなリスクを負うことになるでしょう。

(2)税制上の優遇や軽減措置が受けられない

被相続人が、相続開始前に森林の維持・管理のために5ヶ年の森林経営計画を定め、市町村長等の認定を受けていた場合、この森林を特定計画山林と言います。相続した山林が特定計画山林であり、一定の要件を満たした場合は、評価額を5%減額できる制度、又は、相続税額の80%の納税を猶予し、相続人である後継者が亡くなった場合は、猶予税額が全額免除される制度があります。

山林を相続すれば誰でも受けられる訳ではなく、又、二つの制度の摘要を両方同時に受けることはできない、被相続人が生前に手続きしておく必要がある、等々の要件はありますが、条件を満たすことができるなら、ぜひ利用したい制度ではあります。しかし、いずれも相続した山林の名義が被相続人のままでは、例え条件を満たすことができるとしても適用を受けることはできません。

(3)行政上不都合が発生することも

野生動物による被害や自然災害に伴い、防災、災害復旧を行わなければならない事態も想定されます。こうした折に、所有者が分からないと迅速に対応することができず、被害が拡大する懸念もあります。また、異業種の参入や、林業の集約化により効率を高めたい場合も障壁となります。地域の不安や不満が増大することにもなりかねないでしょう。

このように、様々な問題が想定されますので、山林を相続した場合は、速やかに相続手続きを実施すべきであることを理解しましょう。

4.共有財産として名義変更した山林を分割する場合の留意点

法定相続人全員の共有財産として名義変更したものの、共有状態を解消するために、法定相続人毎に分割したい、というニーズもあるかも知れません。以下の理由によりお勧めはできませんが、その手順と留意点について記載します。

(1)境界の確定と共有者全員による分割の協議

1筆の土地を共有者全員の土地に分筆するためには、前提として土地の境界が確定していなければなりませんが、必ずしも確定しているとは限りません。仮に確定していない場合は、隣接地の所有者全員に参加してもらい、確定測量を行う必要があります。

さらに、隣接地の所有者が不明だったり、登記情報を調べた結果、相続登記未了の場合も有ります。こうした場合は誰が相続しているのか調査する必要があり、非常に手間と費用がかかるだけではなく、調査しても判明しないことも、判明しても合意が得られないことも無いとは言えません。

また、土地の境界が確定したとしても、今度は分割後の山林のどこを誰が所有するか、共有者で協議することになります。ここで立地の良し悪しをめぐって、共有者間でもめることもあるでしょう。以上の作業と協議が整わなければ、分筆登記を行うことはできません。

(2)各人の持ち分を移転登記

首尾良く分筆登記が終了したら、今度は分筆された土地毎に、新たに所有者となった相続人の名義に変更するために「持分全部移転」の登記を行うことになります。分割した共有者の数だけ登記が必要であり、しかも前記した調査や測量の費用は当然別です。

こうした手間や費用を考えるなら、例え分割するにしろ、林業を続けたい共有者だけに集約して、分筆数をできるだけ少なくした方が賢明と言えるでしょう。林業を続けない共有者には、分筆して新たに所有者となる共有者が、代償金を支払って持ち分を譲り受ける、といった方法もあります。共有を解消するための手順に変わりはありませんが、少なくとも分筆する土地と登記の件数が少なくなるだけ、費用を減らすことができます。尤も、林業としての経営が成り立つことが前提にはなりますが…。

5.相続を放棄する場合の留意点

山林を相続することになったものの、自身は都心で暮らしており山林は必要ない、さりとて、相続する山林は立地条件が良くなく、売却したくても買い手がつかない、という方もいらっしゃるでしょう。一つの方法として、相続を放棄する方法があります。相続を放棄することにより、山林を含めて一切の財産を相続する権利がなくなります。最後に、この相続放棄の内容と留意点について記載します。

5.1.相続放棄の内容

財産の引き継ぎ 手続き 申述者 注意点
財産、債務は一切引き継がない 相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述 単独で選択可能 初めから相続人でなかったものとみなされる。生命保険金等の非課税枠は適用されない

相続放棄とは、相続の開始に当たり、預・貯金や有価証券、宅地などのプラスの財産も、借金などのマイナスの財産も、一切引き継がない方法です。相続放棄をするためには、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があり、相続人が複数いる場合でも、単独で申述することができます。ただし、相続開始前に相続放棄することはできません。

なお、相続放棄を行った者は、その相続に関して初めから相続人ではなかったものとみなされます。従って、代わりに子供が相続する代襲相続も認められず、特定の財産だけを放棄することもできません。また、受取人になっている生命保険金等を受け取ることはできますが、非課税枠の適用は受けられず、一度手続きすると撤回することはできません。

5.2.相続を放棄したとしても管理責任は残る

相続放棄をすることにより、確かに不要な山林は相続しないで済みます。それにより、固定資産税を払い続ける必要もなくなります。反面、実家の宅地や預・貯金といった、他の一切の財産も取得できなくなるだけではなく、相続しなかった山林についての、管理責任はなお残ってしまうことに注意が必要です。

承継する相続人がいない場合は、民法第940条(相続の放棄をした者による管理)の規定により、例え相続放棄をしたとしても、新たに継承者となった者が管理を始めることができるまで、相続放棄した土地についての管理責任を負い続けなければならないことを理解しておきましょう。

まとめ

以上、山林を相続するに当たっての留意点について考察してきました。仮に林業を継ぐ訳ではないのに売却もできない山林を相続すると、自身が困るだけではなく、次世代にそのまま問題を先送りしてしまいます。ではどうすれば良いのか? 残念ながら、完璧な回答はありません。

それぞれの親族関係や、山林の立地状況など、個別の事情に基づき、個々に対応方法を検討する必要があるでしょう。

山林の相続のような難しい不動産の相続については専門家のアドバイスを受けることをオススメします。相続は親族間のトラブルの大きな原因です。トラブルを防ぐため、すでにあるトラブルを解決するためにはプロに相談してみてはいかがでしょうか?

不動産の相続にまつわるトラブルについては「国土総合研究所」が親身になって相談を承ります。

ご相談はこちらからお申し込みください。

 

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